建築の3DCADでは建造物やインテリアなどの造形、3DCGではキャラクターやメカなどの造形を3Dグラフィックスで作成することを「モデリング」と言います。2Dで設計されたものをパソコンに取り込み、3Dデータとして構築し立体的にすることも含みます。エンジニアの間では3DCGソフトなどで立体物を造形する機能のこと、または工程の呼称としても使用したりします。
「モデリング」にはいくつかの手法があり、どれを使用しても同じように造形することが可能です。しかし、そこで使用するデータの容量数や造形する際の作りやすさにはかなりの差異があり、対応するソフトもそれぞれの仕様や機能によって異なります。造形をする対象物の種類、例えば角ばっているもの、もしくは丸みを帯びているもの、どちらを造形する頻度が高いかによっても使用する手法は異なってきます。
その中でも最もポピュラーな手法が「ポリゴンモデリング」になりますので、まずはそちらの説明から。
「ポリゴンモデリング」はポリゴンと呼ばれる三角形や四角形の組み合わせによって対象物を造形していく手法です。家庭用ゲーム機などで耳にしたり目にしたりすることも多いかと思いますが、ゲーム機のスペック向上に伴いポリゴンを多用した情報処理が可能になり、この基本的な「ポリゴンモデリング」という手法が世に浸透していきました。現在でも7~8割はこの手法でCGを作成している「モデリング」作業の王道になります。
動画を見て頂いてもわかる通り、最初は大きなポリゴンで全体像を造形し、その多角形の組み合わせを細かくしていくことでより滑らかな造形が出来上がっていきます。作業をしている間も形状を把握しやすく、X軸・Y軸・Z軸を面で確認することができるので直感的に造形することができます。
大抵のモデリングソフトが「ポリゴンモデリング」に対応していますので、3DCG初心者であれば、まずはこのモデリング技術から習得していきたいところです。
建築パースのCGCADですと、キャラクター造形と同じように一つ一つのパーツから建築物を構成していく方法もありますが、こちらは絵を描いていく作業に近いものがあります。構成は3DでX軸・Y軸・Z軸が存在するのですが、あくまでも奥行き感を演出するためのもので、実際は2Dの展開図の作成に近い作業になります。
「ウォーク・イン・ホーム」などの3DCGソフトのように、間取りであったり平面図であったりという2Dデータを作図すると、ソフトがそのデータを自動的に3Dに展開してくれるという便利なものもあります。こちらのソフトでの「モデリング」作業というのは、間取り図を作成することがメインになりますので、比較的、専門の技術がなくても操作することが可能です。
キャラクター造形やインテリアなどの造形を手描き感覚で作ることができる「スカルプトモデリング」という手法もあります。こちらは「ペンタブ」と呼ばれるタブレット上でペンを動かすことによって対象物を造形する手法。マウス操作がほとんどの「ポリゴンモデリング」に比べると、かなりアナログの感覚に近く、粘土を捏ねるようにして好きに造形できるメリットがあります。
ただ、こちらの手法は大量のポリゴン処理が必要になるため、それなりのパソコンのスペックも必要となります。また、それを動かすためにもかなりのポリゴン情報を要するため、大抵は「リトポロジー」を施します。ハイスペックで作ったものを「ポリゴンモデリング」にあえて落とし込み、情報量を軽くするのです。
複雑な形状であったり、建築物のように角ばっているものは「ポリゴンモデリング」や「スカルプトモデリング」で構築することができますが、例えばグラスやカップであったり、照明器具などの丸みを帯びた対象物を造形する場合、「曲面モデリング」という手法の方が楽な場合があります。
スプライン曲線などを多用している手法になり、数か所の点を指示するだけで曲線を作ることができるので、作業効率としては「ポリゴンモデリング」に比べると格段にスムーズに行うことができます。カーブ曲線もR点の変更がしやすく、情報処理も「ポリゴンモデリング」と変わらないほど。ただ、点での作業になるため、他のモデリング作業に比べると、慣れであったり、空間処理のスキルが求められたりもします。