一言で説明すると「リトポロジー」とはポリゴンメッシュを再構成する工程のことを指します。しかし、それだけでは理解が追いつきませんので、順を追って説明をしていきます。
上記の動画にあるように「モデリング」作業の初期段階では、対象物を造形していくために大まかな三角形や四角形などの多角形を組み合わせていきます。この一つ一つの三角形や四角形の平面データのことを「ポリゴン」と呼びます。そもそも「ポリゴン」という言葉は「多角形」を意味しますので、多角形を組み合わせて造形していくこと、即ちポリゴンを組み合わせて造形していくということになります。
この「ポリゴン」には「ローポリゴン(ローポリ)」「ハイポリゴン(ハイポリ)」と呼ばれる種類が存在し、単純に「ポリゴン」の数が多いものを「ハイポリ」、数が少ないものを「ローポリ」と呼びます。「ローポリ」で「モデリング」している初期段階ではカクカクした角張った形状のもの。それが「ハイポリ」になればなるほど角が取れて丸みを帯びた造形になっていきます。
いずれにしても多様な「ポリゴン」で構成された網かけのことを「ポリゴンメッシュ」と呼び、この「ポリゴンメッシュ」を構成していくこと、もしくは「ポリゴン」を細分化していく工程のことを「トポロジー」と呼びます。
上記の動画のように「トポロジー」の作業で重要になってくるのが、三角形や四角形の頂点の組み合わせをいかに滑らかにつなげていくことができるかということです。とくに「ハイポリ」になればなるほど、頂点の組み合わせが複雑になっていきますので、点の位置によっては表面にシワを生み出してしまうことがあります。
このシワを自動で曲面計算してくれる機能のことを「サブディビジョンサーフェイス(SDS)」と言います。大抵の3DCGソフトに導入されている機能ですので、ゼロから「トポロジー」をしていくことはまずありません。しかし、「SDS」機能を使ってもシワができてしまうことはありますので、エンジニアとしては「トポロジー」の流れを滑らかにするための工夫が必要になってきます。
こうして造形されていく「モデリング」はどんどんと「ハイポリ」になっていき、その分、データ容量も多くなっていきます。「SDS」を使って曲面を多用すると、なおのこと容量は重くなり、対象物を動かしたいとなると致命的になります。そこで容量を軽量化するために「ハイポリ」のものを一旦「ローポリ」に再構成する。データ容量を少なくする。この工程を「リトポロジー」と呼びます。
動画で紹介されているように、もともと670万ポリゴンで造形されていたものが、「リトポロジー」をすることにより3万7千ポリゴンまで軽量化することができました。それにより、見た目はだいぶシンプルな形状になってしまいましたので「UVマッピング」などの作業を行い、軽量化の状態を「ハイポリ」のように仕上げていきます。
スカルプトモデリングや3Dスキャンモデルをポリゴンベースに落とす時にも「リトポロジー」が利用されていたりします。初期の段階から「ハイポリ」で「モデリング」をしていくことは作業効率を早めることができますが、データ情報量が非常に多いため、「レンダリング」などの処理が追いつかなくなります。そのため仕上げ前に「リトポロジー」(慣れてきたエンジニアたちは「リトポする」と呼んだりします)は重要な工程になります。