写真や画像の色補正、汚れの除去、合成といった修正作業のことを意味します。プリントなどの印刷業界ではこれらの作業やサービスのことを「フォトレタッチ」と呼び、CG用語としては主に「Photoshop」などの「レタッチ機能」のことを指します。建築パースでは最終的な仕上げ加工(ポストプロダクション)のことを総じて「レタッチ」と呼称しています。
画像の拡大・縮小、切り抜き(トリミング)や塗りつぶし、色調変換や文字の書き込み、コントラストなどが基本機能となり、大抵のパソコンにはバンドルソフトとして搭載されています。スマートフォンなどの画像編集や写真アプリ、インスタグラムやLINEで写真を送る際の加工なども「レタッチ」に含まれ、身近にある手軽な機能だといえます。
「Photoshop」に代表される画像編集ソフトでは、「レタッチ」に付随する形として「フィルタ機能」があり、写真や画像をモザイク風であったり、ステンドグラス風や線画、イラスト風やスケッチ風であったりと、手軽にグラフィック加工をすることもできます。
建築パースや2DCGでは、3DCGの「コンポジット」のように、「レンダリング」後から人物や背景・インテリアなどのオブジェクトを張り付けた方が効率的であったりします。これらの細々としたオブジェクトを一つ一つ3Dモデルで造形していくのは時間も手間もかかりますし、2D表現がメインですと建築物などの対象物以外を立体として造形するメリットもありません。
そのため、建築パースなどでは写真や画像を切り貼りして合成する作業も「レタッチ」に含まれ、「レンダリング」処理のあとの調整作業は全て「レタッチ」の工程になります。これらを「ポストプロダクション」とも呼び、3Dモデル作成後の仕上げ工程を専門業者に外部発注することもあります。
いずれにしても、3Dモデルを作成後、2Dとしてのカメラアングルを固定したら、コラージュのように「テクスチャ」を張り付けていきます。樹木であったり、人物であったりという「テクスチャ」はフリー素材としてダウンロードすることができますので、それらを活用することもできますし、自身で「テクスチャ」を作成してストックしていくこともできます。
「ペイント」で光の加減を調整したり「マテリアル」の質感を表現したりといった作業を繰り返し、クライアント要望に合わせたパースを作成していくのですが、この時に「透視図」やVP点を意識するとよりリアルなパースに仕上げることができます。
ゼロからCGパースを組み立てていく方法も一つですが、「アーキトレンド」のような建築CGソフトには自動で「レタッチ」加工をしてくれる機能がついていたりもします。この編集機能は、昼間・夜間、四季などに対応しているので、さまざまなシーンに合わせたプレゼンテーションを行うことが可能です。とくに手書き風やイラスト風のパースは、温かみや親しみやすさも手伝ってクライアントに好印象を残すことができるので、3Dモデル作成後に手早くタッチを変更できるのは重宝します。
その他、実際に手描きでパースを作成し、それをスキャンで取り込み「レタッチ」で画像編集をするという手法もあります。