3Dモデルの「モデリング」手法の一つ。「スカルプト=彫刻を彫る」という語源のように、「ペンタブレット」を用いて粘土をこねるような感覚で自由に「モデリング」が行えるため、主にキャラクター造形に利用されています。現在進行形で「スカルプティング」とも呼ばれます。例えるなら、パソコン上でクレイアニメのキャラクターを造形するイメージです。
広く利用されている「ポリゴンモデリング」では、「ポリゴン」を細分化していくことで対象物を造形していきますが、その際に重要視されているのが、「アニメーション」の時にシワが生じないように「ポリゴン」の流れを滑らかに調整していくこと。「トポロジー」もしくは「リトポロジー」の作業になります。「スカルプト」では、この「トポロジー」を気にせずに自由に造形ができるため、細かいディテールにまでこだわって表現をすることが可能です。
統合型ソフトなどにバインドされている「スカルプト」は「曲面モデリング」など「ポリゴン」をベースにしたものであり、特化型ソフトの「スカルプト」とはシステムが違います。主だった「スカルプト」の特化型ソフトは「ZBrush(ズィーブラシ)」やフリーソフト「Sculptris(スカルプトリス)」などが挙げられ、他にも「3D-COAT」「MARI」など「トポロジー」機能などが追加された高機能ソフトもあります。
これらの特化型ソフトで作成した3Dモデルは、造形が自由な分データ量が膨大になり、「アニメーション」などで動かそうとした時に重たくなります。また、CGの技術を習得しているエンジニアにとっては、使い慣れた「ポリゴン」ベースとは勝手が違うため、なかなか「スカルプト」にまで手を出しにくいという面もあります。
ただし、通常の「ポリゴンモデリング」では、「モデリング」から「トポロジー」「テクスチャリング」に「UV展開」からの「ペインティング」、「シェーディング」や「ライティング」から「リギング」に「レンダリング」など、一つの3Dモデルを仕上げるための工程がいくつも存在します。とくに「モデリング」から「ペインティング」までの調整作業がスムーズになるまでは時間と経験を要します。その点、「スカルプト」ですと「モデリング」から「3Dペインティング」まで一つの3Dモデルを対象に直感的に作業が行えるので非常に合理的です。
とは言え、慣れ親しんだ「ポリゴンモデリング」から簡単に「スカルプト」に移行するのも現実的には難しい面があります。そこで、作業をする上でメリットになる部分を「スカルプト」で作成する手法、統合型ソフトと特化型ソフトのハイブリット作業が主流になりつつあります。
慣れ親しんだ「ポリゴンモデリング」で、ある程度のところまでキャラクターを造形したらデータを移行して、細かいディテールなどを「スカルプト」で加工していく。出来上がったものを「リトポロジー」して「レンダリング」で仕上げていくというのが一つの流れ。もう一つは「スカルプト」で3Dモデルを細部まで作りこみ、出来上がったものに「ノーマルマップ」を作成し凹凸情報を出力する。それを元に「リトポロジー」をするという流れです。
また、ミーティングや商談などの場で修正の話題になった時、「ポリゴン」を調整して「テクスチャ」や「ペイント」を施してという作業ですと一度オフィスやデスクに持ち帰らないといけませんでしたが、「スカルプト」ですと「ペンタブレット」があれば、その場で簡単に修正することが可能。クライアントのイメージに対して即効性のグラフィックで対応ができるというメリットもあります。
建築CGなどの角張った造形物ですと、図面の「トレース」から始まり、実際に建築物を建てていく手順で資材などを「ポリゴンモデリング」で作り上げ、3Dモデルに組み立てていくほうが手際のいい場合もあります。